投稿日:2025.6.20
歯並びが上下で当たっていると問題がありますか?切端咬合と歯列接触癖(TCH)について解説
こんにちは!東京の渋谷にある歯列矯正専門クリニック「渋谷矯正歯科」です!
ふとした瞬間に「上下の歯が当たっている」と気になったことはありませんか?
本来、上下の歯は、リラックスした状態ではわずかに隙間が空いているのが自然です。
しかし、常に上下の歯が接触している場合、それは口腔内にとって良くないサインかもしれません。
この記事では、「上下の歯が接触していることがどのような問題を引き起こす可能性があるのか」に注目しながら解説します。
矯正治療とどのように関係するのか、ぜひ参考にしてください。
目次
上下の歯が当たっている状態とは?
通常、口を閉じてリラックスしているとき、上下の歯はわずかに開いており、接触していないのが理想的です。
食事や会話のとき以外に歯が接触している状態が続いている場合、それは「歯列接触癖(TCH)」である可能性があります。
また、前歯の先端同士が直接噛み合っている「切端咬合」のように、噛み合わせの異常があると、常に上下の歯が接触しやすくなり、歯や顎に大きな負担がかかることがあります。
切端咬合とは?
切端咬合とは、上下の前歯の先端どうしが真っすぐに当たって噛み合っている状態を指します。
本来、理想的な前歯のかみ合わせは、上の前歯が下の前歯よりわずかに前に出て、軽く覆うような位置関係になっています。
これにより前歯で物を噛み切るときの力が分散され、歯や顎に過度な負担がかかりにくくなります。
一方、切端咬合の人はこの「重なり」がなく上下の前歯が真っ直ぐ当たることで、噛む力が一部に集中しやすいのが特徴です。
また、かみ合わせのバランスが全体的に崩れていることも多く、顎の動きや歯の使い方に影響が出やすい傾向があります。
見た目では目立たないこともありますが、矯正治療やかみ合わせの診断では重要なチェックポイントのひとつです。
歯列接触癖(TCH)とは?
TCH(Tooth Contacting Habit)とは、日常的に上下の歯を無意識に接触させ続ける癖のことをいいます。
通常、人は会話や食事以外の時間、上下の歯が接触している時間は1日20分程度といわれています。
しかし、TCHのある人は、仕事中や家でリラックスしているときにも常に歯を合わせてしまっており、その時間が何時間にも及ぶことがあります。
TCHはストレスや姿勢の悪さとも関係しているため、歯科的な対処だけでなく、生活習慣全体の見直しも必要になるケースがあります。
切端咬合やTCHがもたらすリスクとは?
上下の歯が常に当たっていたり、前歯の先端同士がぶつかっていたりする状態は、見た目だけの問題ではありません。
時間が経つほど、歯や顎、周りの組織にさまざまな負担がかかり、放っておくと不調につながることがあります。
ここでは、「切端咬合」と「TCH(歯列接触癖)」それぞれの代表的なリスクをご紹介します。
切端咬合のリスク
切端咬合とは、上下の前歯がちょうど先端同士でかみ合っている状態です。
一見それほど問題がなさそうに見えるかもしれませんが、次のようなリスクがあります。
歯がすり減る
前歯の先端に力が集中するため、歯が摩耗して短くなったり、欠けたりしやすくなります。
歯が割れる・ヒビが入る
力の逃げ場がないため、硬いものを噛んだときに歯が割れるリスクもあります。
顎関節に負担がかかる
奥歯をうまく使えないことで、噛む力のバランスが崩れ、顎にストレスがかかることも。
発音しづらくなる
「サ行」や「タ行」など、前歯を使う音が発音しにくくなることがあります。
TCH(歯列接触癖)のリスク
TCH(Tooth Contacting Habit/歯列接触癖)とは、リラックスしているときでも上下の歯が触れているクセのこと。
本来、上下の歯は会話や食事のとき以外は軽く離れているのが正常です。
このTCHがあると、次のようなリスクが考えられます。
歯や詰め物に負担がかかる
長時間、歯同士が当たることで、歯がすり減ったり、詰め物が取れやすくなったりします。
顎のだるさ・疲れ・痛み
常に力が入っているため、顎の筋肉がこって、朝や夕方にだるさを感じることがあります。
顎関節症につながることも
カクカク音がしたり、口を開けづらくなったりするなど、顎関節に不調が出るケースもあります。
歯ぐきや骨にもダメージが及ぶ
微妙な力でも長時間かかると、歯を支える組織に負担がかかり、歯が揺れやすくなったり、歯周病が悪化する可能性もあります。
放置せず、専門的なチェックを
切端咬合やTCHは、初期には自覚しにくいですが、少しずつダメージが積み重なり将来的なトラブルにつながることも多いです。
とくに「歯がすり減ってきた気がする」「前歯がいつも当たって気になる」「顎が疲れやすい」といったサインがある場合は、早めに歯科医院での診察をおすすめします。
噛み合わせの問題は、見た目だけでなく“歯の健康寿命”にも関わる大切な部分です。
気になる症状がある方は、一度かみ合わせチェックを受けてみましょう。
上下の歯が当たるクセ、矯正で改善できる?
上下の歯が常に接触している、あるいは前歯の先端同士がぶつかっている。
こうした噛み合わせのクセや状態は、矯正治療によって改善できるのでしょうか?
答えは「可能」です。
ただし、症状や原因によって治療のアプローチは異なります。
まず、切端咬合(せったんこうごう)の場合、原因の多くは歯の傾きや位置、顎の成長バランスの不調和などによるものです。
上の歯と下の歯がちょうど先端同士で当たるこの噛み合わせは、見た目ではあまり目立たないこともありますが、歯のすり減りや咬合力の集中、将来的な歯の破折リスクにつながるため、放置するのは避けたい状態です。
矯正治療では、こうした切端咬合に対して歯列全体のアーチを整えることで、前歯の位置や角度を調整することが可能です。
ワイヤー矯正・マウスピース型矯正どちらでも対応できますが、歯の移動量や骨格的要因によっては治療期間や方法が異なるため、それぞれの診断が重要です。
一方で、TCH(歯列接触癖)のような「無意識のクセ」が原因で上下の歯が当たり続けている場合、単に歯並びを整えるだけでは不十分なことがあります。
このようなケースでは、矯正治療と並行して生活習慣の見直しや行動療法的な指導が必要です。
たとえば、
- ・上下の歯は「安静時には接触していないのが正常」という知識を伝える
- ・日中に歯を離す意識を促すリマインド法(付箋・アラームなど)を活用
- ・食いしばりや歯ぎしりを防ぐためのナイトガードを併用する
など、日常の無意識な行動にもアプローチすることで、より確実な改善が期待できます。
矯正治療は、見た目だけでなくかみ合わせや筋肉のバランス、歯の使い方のクセまで含めて整える治療です。
上下の歯が当たることに悩んでいる場合は、「歯並び」だけでなく「噛み方のクセ」も視野に入れて診てもらうとよいでしょう。
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まとめ
上下の歯が当たっている状態は、一見すると小さなクセや気のせいのように思えるかもしれません。
けれど、それが「切端咬合」や「TCH」といった噛み合わせの異常や習慣によるものだった場合、歯や顎にじわじわと負担がかかり、将来的なトラブルにつながる可能性があります。
矯正治療は、見た目の歯並びを整えるだけでなく、こうしたかみ合わせの不調和や噛みグセの改善にも有効な選択肢です。
また、歯科医院ではTCHのような無意識のクセにも気づき、アドバイスやサポートを受けることができます。
「前歯がいつも当たる気がする」「顎が疲れやすい」「歯がすり減ってきたかも」そんな小さなサインがある方は、一度かみ合わせや歯並びのチェックを受けてみてください。
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