投稿日:2025.9.3
大人の矯正治療で気をつけたいこと
こんにちは。渋谷矯正歯科です。
いつも当院のブログをご覧いただきありがとうございます。
「歯並びは気になるけれど、大人になってから矯正治療を始めるのはどうなんだろう?」 「費用や期間もかかるし、失敗したくない」
近年、20代や30代を中心に、大人になってから歯列矯正を始める方が増えています。
しかし、いざ治療を考え始めると、さまざまな疑問や不安が頭をよぎるのではないでしょうか。
大人の矯正治療は、何も知らずに治療を始めてしまうと「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまう可能性もゼロではありません。
そこでこの記事では、大人の矯正治療で後悔しないために、事前に知っておきたい注意点や、治療法ごとのメリット・デメリットを解説します。
目次
大人になって歯列矯正を始める人が増えている理由
近年、大人になってから歯列矯正を始める方が着実に増えています。
その理由は、大人でも治療を受けやすい環境が整ってきたことや、歯並びが全身の健康にも影響するという意識が広まってきたことなどが挙げられます。
例えば、以前は矯正装置というと金属製のギラギラしたものが主流で、「いかにも矯正している」という見た目に抵抗を感じる方も少なくありませんでした。
しかし現在では、歯の裏側に装置をつける「裏側(舌側)矯正」や、透明で目立ちにくい「マウスピース型矯正」など、ライフスタイルに合わせてさまざまな選択肢が登場しています。
これにより、お仕事をされている方や、見た目を特に気にする方でも矯正治療を検討しやすくなりました。
また、「歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすい」「しっかり噛めないことが消化不良や肩こりにつながることもある」といった情報が広まり、健康のために歯列矯正を選ぶ方も増えています。
大人の歯列矯正で気をつけるべき5つのこと
大人の歯列矯正を始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、気をつけるべき5つのポイントを見ていきましょう。
虫歯・歯周病リスクが高くなる
大人の歯列矯正は、虫歯や歯周病のリスクが通常よりも高まるという点に注意が必要です。
矯正装置を歯に装着することで、どうしても歯磨きがしづらくなり、食べかすやプラークが残りやすくなるためです。
マウスピース型矯正でも、マウスピースと歯の間に唾液が流れ込みにくくなることで、虫歯のリスクが高まることがあります。
そのため、矯正治療中は、普段使っている歯ブラシだけでなく、「歯間ブラシ」という細いブラシや「デンタルフロス」という糸ようじ、「タフトブラシ」という毛束が一つになった小さな歯ブラシなどを上手に活用して、装置の周りや歯と歯の間を丁寧に清掃することが大切になります。
歯科医院で正しい歯磨きの方法を教えてもらい、毎日のセルフケアを徹底することに加え、定期的なクリーニングやフッ素塗布といったプロフェッショナルケアも受けましょう。
抜歯の可能性がある
大人の歯列矯正では、歯をきれいに並べるためのスペースを確保するために、健康な歯を抜くことが必要になることがあります。
抜歯の対象となるのは前から数えて4番目または5番目の「小臼歯(しょうきゅうし)」という歯です。
スペースが足りない状態で無理に歯を並べようとすると、歯列が前に広がって口元がさらに出てしまったり、歯が顎の骨から飛び出すような形になってしまったりするリスクがあります。
歯が並ぶためのスペースが明らかに不足している場合、例えば歯が前後に重なり合ってガタガタに生えている状態や、口元全体が前に出ている状態は、抜歯を検討する可能性が高いです。
歯根吸収が起きるリスクがある
歯根吸収(しこんきゅうしゅう)とは、歯の根っこ(歯根)が短くなってしまう現象のことです。
特に、歯を大きく移動させる必要がある場合、治療期間が長期間にわたる場合、もともと歯の根の形が細長い方や短い方などは、歯根吸収が起こりやすい傾向があると言われています。
ただし、治療開始前の検査で歯根の状態を把握し、治療中も定期的にレントゲン撮影を行うなどして、歯根吸収が起きていないか、進行していないかを注意深くチェックしながら治療を進めるのが一般的です。
万が一、歯根吸収が認められた場合には、歯にかける力を調整したり、一時的に治療を中断したりするなどの対応をとることがあります。
歯肉退縮のリスクがある
歯肉退縮(しにくたいしゅく)とは、歯茎が下がってしまう現象のことです。
これは、歯を動かすことによって歯を支えている骨(歯槽骨:しそうこつ)の形が変化したり、もともと歯茎が薄い部分に歯を移動させる力が加わったりすることが主な原因です。
特に大人は、加齢によってもともと歯茎が下がりやすくなっている場合もあり、注意が必要です。
また、下の前歯などに見られやすいのですが、歯と歯の間の歯茎が下がってしまい、歯と歯茎の間に黒い三角形の隙間ができてしまうことがあります(ブラックトライアングル)。
これは、もともと歯が重なり合っていた部分の歯茎が、歯並びが整うことで本来の位置よりも下がって見えるようになるために起こりやすい現象です。
そのため、歯肉退縮のリスクについても事前に理解しておくことが大切です。
後戻りが起こるリスクがある
矯正治療によって歯並びがきれいになっても、治療後のケアを怠ると歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こるリスクがあります。
矯正治療によって動かされた後は、歯の周りの骨や歯茎、靭帯といった組織が新しい歯の位置にまだ完全には馴染んでいないため、しばらくの間は元の位置に戻ろうとします。
せっかく長い時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びが数年で元に戻ってしまったら非常に残念ですよね。
そのため、矯正治療が終了した直後から「保定装置(ほていそうち)」や「リテーナー」と呼ばれる装置を装着することが絶対に必要です。
リテーナーには、自分で取り外しができるマウスピースタイプのものや、歯の裏側に細いワイヤーを直接固定するタイプなど、いくつかの種類があります。
保定期間も治療の一部と捉え、歯科医師の指示通りにリテーナーを根気強く使用しましょう。
どの治療法を選ぶ?大人の歯列矯正の種類とメリット・デメリット
大人の歯列矯正にはいくつかの治療法があり、それぞれに異なる特徴、メリット、デメリットがあります。
表側ワイヤー矯正
表側ワイヤー矯正は、歯の表側(唇側)に「ブラケット」という小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かしていく一般的な矯正治療法です。
長年にわたる多くの治療実績があり、さまざまな歯並びの症例に対応できる治療法であること、他の矯正方法と比較して費用を抑えられるのがメリットです。
一方、デメリットとしては、装置が歯の表側につくため、笑ったり話したりする時にどうしても目立ってしまいます。
「矯正していることが周りに分かってしまうのが気になる」という方にとっては、大きなハードルとなるかもしれません。
また、装置の周りに食べ物が挟まりやすく、歯磨きがしにくいという点も考慮が必要です。丁寧にブラッシングしないと、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
ただし、最近では、ブラケットの素材も進化しており、金属製のものだけでなく、歯の色に近い白いセラミック製や透明なプラスチック製のブラケット、ワイヤー自体も白くコーティングされたものなど、できるだけ目立ちにくくするための工夫がされた装置も登場しています。
当院の表側矯正についてはこちらをご覧ください☆彡
裏側(舌側)矯正
裏側(舌側)矯正は、歯の裏側に矯正装置を取り付けて歯を動かす治療法です。
メリットは、何と言ってもその審美性です。装置が歯の裏側にあるため、口を開けても矯正していることがほとんど分かりません。
そのため、接客業や営業職など、人と接する機会が多いお仕事の方や、結婚式や就職活動といった大切なライフイベントを控えている方、「矯正していることを知られたくない」という方に人気があります。
一方、デメリットとしては、装置が舌に当たりやすいため、治療開始直後や装置を調整した後に、話しづらさや口内炎、舌の違和感などを感じることがあります。
また、歯の裏側は表側よりも複雑な形態をしているため、装置の製作や装着、調整に高い技術が必要です。そのため、表側矯正に比べて費用が高くなる傾向があります。
当院の裏側矯正についてはこちらをご覧ください☆彡
マウスピース型矯正(インビザラインなど)
マウスピース型矯正は、透明なマウスピースを治療計画に沿って段階的につけ替えていくことで、少しずつ歯を動かしていく治療法です。
世界的に有名なものに「インビザライン」があります。装置が薄く透明なので、装着していても周囲の人に気づかれにくいという点がメリット。
また、食事の際には装置を取り外せるため、食べ物の種類を気にする必要がほとんどありません。ワイヤー矯正のように食べ物が装置に挟まる心配もなく、食後の歯磨きも普段通りに行えるため、口腔内を清潔に保ちやすいという利点があります。
一方、デメリットとしては、1日に20時間以上という長時間の装着が必要であり、これを守れないと計画通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまったり、期待した効果が得られなかったりする可能性がある点です。
つまり、患者さん自身の協力度と自己管理能力が治療結果を大きく左右します。また、抜歯が必要なケースや、歯を大幅に移動させる必要があるような症例、骨格的な問題が大きい症例など、対応できる歯並びの種類に限りがあります。
当院のマウスピースについてはこちらをご覧ください☆彡
まとめ
大人の矯正治療で気をつけたいポイントや、代表的な治療法について解説してきました。
安心して治療を進めるためには、矯正歯科の歯科医師に相談することが重要です。
渋谷矯正歯科では、矯正治療に関するカウンセリングを実施しています。「ちょっと話を聞いてみたい」「自分にはどんな治療法が合っているの?」そんな軽い気持ちで大丈夫です。
あなたの希望や不安、疑問に思っていることを歯科医師に直接伝えてみましょう。