menu
close

ブログ

投稿日:2022.12.4

矯正治療後の保定(後戻り予防)について

こんにちは。歯科医師の髙田です。
今回は、矯正治療終了後の後戻り防止のための「保定」について、期間や保定装置の種類を詳しく説明していきます。

歯列矯正後の保定にはどんな役割があるの?

矯正治療が終了した後、歯並びの「後戻り」を防ぐための「保定」の期間が不可欠です。
ワイヤーなどの矯正装置を外してすぐの歯は、歯の周りの骨(歯槽骨)の状態が不安定です。
保定をせずに放置しておくと、歯が動いて乱れた歯並びに戻ってしまう「後戻り」を起こしてしまいます。
保定は、きれいな歯列を安定するまで装置でしっかり固定させて、歯並びを定着させる役割があります。
この期間は、これまで頑張ってきた矯正治療の総仕上げになるため、とても重要な期間です。

保定の期間はどのくらい?

保定装置を継続して付ける期間は、個人差がありますが、矯正期間とおよそ同じ2〜3年程の期間になります。
矯正治療をすると、矯正の歯を動かす力が加わることで、歯を支えている骨(歯槽骨)が柔らかくなり、歯が動きやすくなります。
歯を動かす矯正治療が終わると、柔らかくなっていた歯を支えている骨(歯槽骨)が徐々に定着して、固まっていきます。
骨が固まって安定すると、歯が動きづらくなり、歯列の後戻りは起こりにくくなります。
この、安定するまでの期間にしっかり保定装置を使うことが特に大切です。

しかし、歯科医師の判断によっては保定の期間の考え方が違う場合もあります。
保定期間だけで後戻りを完全に防ぐことができるとは断定できません。
通常、健康な歯には、わずかに歯が動く生理的動揺があります。
また、加齢によって、歯槽骨の吸収が起こったり、口周りの筋肉のバランスも衰えたりするため、
保定期間が終わった後も、後戻り予防のために装置を使い続ける方が良いと考えられています。
※矯正治療期間の目安についてはこちらのページも参考にしてみてください。

保定装置の装着時間について

保定が始まってすぐの保定装置の装着時間は1日20時間程度です。
数年経過すると徐々に歯列が定着するため、装着時間も「夜間の寝るときだけ」などに減らしていくことができます。
装着時間が十分に足りていないと、後戻りしてしまう可能性があるため、しっかり指定の装着時間を守るようにしましょう。
装着時間の変動は個人差があるため、担当の歯科医師の指示に従うようにしましょう。

保定装置の種類について

保定装置には2タイプの種類があります。
固定式装置(取り外し出来ない装置)と可撤式装置(取り外し可能な装置)です。

①固定装置(取り外し出来ない装置)

fixリテーナー(フィックス)

固定式装置 fixの写真

fixリテーナーは、前歯の歯の裏側に歯科用の接着剤で細いワイヤーを固定させる保定装置です。
基本的に前歯だけにつけるものなので前歯限定の後戻り防止になります。
歯の裏側に直に接着させるので、審美性は損なわれません。
fixリテーナーは固定されているので取り外す手間がなく、効果も持続的にあります。
ワイヤーの表面には汚れが残りやすく、虫歯や歯周病のリスクがあるデメリットがあります。

fixリテーナーのメリット
・審美性を損なわず目立ちにくい
・取り外しの手間がない
・持続的に効果が続く

fixリテーナーのデメリット
・歯垢や歯石が付きやすい
・舌感が悪い

②可撤装置(取り外し可能な装置)

1.ホーレーリテーナー

保定装置,ホーレーリテーナー

主に前歯を固定するタイプのリテーナーです。
非抜歯矯正の治療後に使われることが多いです。
昔からよく使用されていて、素材は金属とレジンを使用し、前歯部分を固定して後戻りの予防をします。
金属のワイヤーが見えてしまうので、見た目が良くないことがデメリットです。
ベッグタイプリテーナーよりもワイヤーの範囲は短くなります。

ホーレーリテーナーのメリット
・取り外しができる
・前歯をしっかり固定できる
・歯磨きしやすい

ホーレーリテーナーのデメリット
・ワイヤーが見えるので見た目が悪い

2.ベッグリテーナー

保定装置,ベッグリテーナー

ホーレータイプと同様に、歴史のあるリテーナーで、素材は金属とレジンを使ったリテーナーです。
歯列全体を囲んで、締め付けて固定させることで後戻りを予防します。
抜歯矯正の治療後に使われることが多いです。

ベッグリテーナーのメリット
・取り外しができる
・歯列全体をしっかり固定できる
・歯磨きしやすい

ベッグリテーナーのデメリット
・ワイヤーが見えるので見た目が悪い

3.インビシブルリテーナー

リテーナー_マウスピースタイプ

インビシブルリテーナーは透明のマウスピース型のリテーナーです。
審美性が良く、厚さが薄いため付けていても気づかれないことが多いです。
歯ぎしりや食いしばりが強い方の歯や顎を守る効果もあります。
ただし、耐久性の面では強い力が加わることに弱い欠点があるため、歯ぎしりや食いしばり、
強く歯ブラシでこする洗い方などは破損につながるので注意が必要です。
もし、破損があった場合も、型取りをして、即日お渡しが可能ですので、すぐに作り直すようにしましょう。

マウスピースタイプの保定装置は、骨が柔らかい初期の段階で長時間付け続けていると、奥歯が沈んでしまうことがあります。
奥歯が沈むと顎が歯並びに慣れなかったり、噛みづらくなったりするため、つけすぎない方が良い場合があります。
当院ではインビシブルリテーナーをよく使用します。
お渡しするときに使用方法を、お伝えさせて頂くので、
歯科医師の指導内容や、使用方法をしっかり守ってお使い頂くようお願い致します。

インビシブルリテーナーのメリット
・透明で薄いため付けていても目立たない(審美性が良い)
・取り外しができる
・歯磨きしやすい
・歯ぎしりや食いしばりにも予防効果がある

インビシブルリテーナーのデメリット
・噛みしめると破損することがある
・使用時間には注意が必要

保定装置の注意点

可撤式装置(取り外し可能な装置)は外した時のお手入れが必要です。
取り外した時には、水洗いだけでなく、歯ブラシで内側と外側を優しく磨いてお手入れをしましょう。
歯磨き粉を使う場合は研磨剤が含まれていると、装置に傷がついてしまうことがあります。
傷がつくと、劣化の原因や、不潔になりやすいため、歯磨き粉を使用しないか、研磨剤を含まないものを使う方が良いです。
専用の洗浄液でお手入れする方法もあります。

また、時間の経過による劣化や、強い力が加わることで保定装置が外れたり破損したりすることがあります。
破損した装置は、十分に保定の役割を果たせないので、早めに作り変えるか、修理をするようにしましょう。
装置を紛失した場合も、保定の装着時間が不足してしまうので、早めに作り直すようにしましょう。
固定式のfixリテーナーは、虫歯や歯周病の予防のためにも定期的な歯石のチェックと除石をすることがお勧めです。

まとめ

今回は「保定」について詳しくお伝えしました。
今回ご紹介した3種類の保定装置は、部位や見た目によって用途が異なります。
歯を動かした後の保定は歯並びを美しく保つための重要な期間です。
しっかり安定させていくために、保定装置によってのメリットやデメリットはしっかり把握しておくことが大切です。
装置の破損や、ワイヤーが外れてしまうこともあるため、定期的に保定装置の状態を歯科医院でチェックするようにしましょう。
矯正治療について、ご質問やお困りのことがありましたら、いつでもご相談ください。

最後に、渋谷矯正歯科では無料カウンセリングを行なっております。
矯正をご検討中の方や歯並びについてお悩みの方は是非一度ご相談ください。
無料カウンセリングのweb予約はこちらから。
最後までご覧頂きありがとうございました。

 

« »